グレア分布図(解説)
グレアとは「まぶしさ」を表す照明用語です。グレアの程度(まぶしさの程度)は、「まぶしさ」を感じる対象の輝度が高いほど、その大きさが大きいほど、その周辺の輝度(背景輝度)が低いほど、強くなることが知られています。
グレア分布図は、画像変換を利用して、輝度画像より求めた画像各点の「等価の対象輝度」、「等価の背景輝度」、「立体角(大きさ)」を、UGR式と呼ばれる世界で利用されているグレア評価式に代入し、その画素方向に視線が向いたときのグレア(まぶしさ)の程度を推定したものです。指標[UGR_n]は、画素の大きさが視角2度のときに「不快である(UGR=25)」となるグレアを1として変換された値で、オレンジから赤で表示された領域が、特にまぶしく感じる部分を示します。U-Omniを利用することで、この分布図より、正確なUGR値を算出することができます。
明るさ画像(解説)
夜、懐中電灯を見つめると、とても明るく見えますが、明るい昼間ではそれほど明るく見えません。ところが、懐中電灯から私たちの目に入ってくる光の量(輝度)は同じです。同じ輝度が目に入射しても、視野の他の部分の輝度(背景輝度)が低ければ、私たちが「知覚する明るさ」は増加します。明るさ画像は、画像変換を利用して、輝度画像より求めた各画素の「等価の対象輝度」、「等価の背景輝度」を用いることで、このような、対象の「明るさ知覚」(NB値)を推定したものです。NB 値(Natural Brightness Value)とは、日常的に使っている形容詞を用いて各画素の「明るさ知覚」を推定した値で,各数値はそれぞれ、13:とても明るい、11:明るい、9:やや明るい、7:明るくも暗くもない、5:やや暗い、3:暗い、1:とても暗い、という明るさ知覚に対応します。
明るさ検討画像(解説)
明るさ検討画像は、「明るさ分布」の概要が容易に分かるようにした画像で、明るさ画像で求められたNB値を基に、次の5つの領域に塗り分けた画像です。明るさ検討画像を利用すれば、部屋全体から感じる「明るさ感」を推定することができます。
・4 以下の値をもつ領域:暗い色であると判断され、部屋全体の明るさ感には影響しない
・4~6.5 の値をもつ領域:薄暗く見え、部屋全体の明るさ感を低下させる(D:Dark 領域)
・6.5~7.5 の値をもつ領域:明るくも暗くもなく見え、部屋全体の明るさ感に特に影響を与えない(N: Nutral 領域)
・7.5~9 の値をもつ領域:明るく見え,部屋全体の明るさ感を向上させる(B: Bright 領域)
・9 以上の値をもつ領域:光源と判断され、部屋全体の明るさ感には影響しない
部屋全体の「明るさ感」を向上させるためには、B領域を増やし、D領域を減らすことが求められます。REALAPS-Omniを利用すれば、明るさ検討画像より、部屋全体の「明るさ感」を推定した「明るさ感推定値」を算出することができます。
色彩分布図(解説)
現実の視環境で色が見えるとき、屋外建築物の外壁や樹木では、空からの光が反射することでそれらの色が見えますが、空そのものの青い色は、空から発せされた青い光が直接目に入ることで青に見えます。一方室内でも、内装や家具の色は、窓や照明器具からの光を反射することでその色が見えますが、照明光源やディスプレイの色は、それらが発する色光が目に入ることによって見えます。これら様々なものの色の見え方は、全方位測光色画像で決まります。画像の各点の色の見え方と同じ色の見え方が保証される色票を「等価アピアランス色票」といい、測光色画像より算出される「等価の対象測光色」と「等価の背景測光色」を利用して算出されます。色彩分布図をクリックすると、クリックされた点の「等価アピアランス色票」がLab(均等色空間と呼ばれるCIEが定めた表色系)で示され、近い見え方となるマンセル色票も同時に示されます。なお,Labの横に示される( )の中の数字は,下記に簡単に紹介する正規化を施した値です。また、色票を照らす照明条件などの細かい情報は、REALAPS-Omni-Colorを利用することで確認できます。
デフォルトで提示されている色彩分布図の色の塗分け方は、彩度の高い領域を検出する塗分けとなっています。色を塗分ける範囲の指定は、JIS Z 8102にある明度・彩度に関する修飾語の図を基にしており、PCCS表色系で提供されているビビットトーンに近いマンセル値で正規化した値を利用します。デフォルトの正規化彩度0.7以上、正規化明度-0.75以上とは,明るい、つよい、こい、あざやかな色が検出されるという設定になっており、その条件に当てはまる色が色相図の色で表示されます。なお、ここでは発光色と呼ばれるとても明るい色も含まれています。必要な色の塗分け方は、利用目的によって異なり、正規化を使わないこともあります。REALAPS-Omni-Colorを利用すれば、ユーザは自由にその方法を設定することができます。
輝度分布図(解説)
輝度とは、ある方向から目にはいる光の強さを表した測光量で[cd/m^2](カンデラ毎平方メートル)という単位を持ちます。グレア画像、明るさ画像、明るさ検討画像は全て、この輝度分布画像から求められています。
一方光には色味もあります。色を含めた光を測光色といい、輝度・色度、あるいはXYZ三刺激値で表され、分布の様子は測光色画像で表されます。リアル・アピアランス画像、色彩分布画像は、この測光色画像から求められています。
照度分布図(解説)
照度とは、ある面に入射する光の量を表す測光量で[lx](ルクス)という単位を持ちます。想定するその面が、あらゆる方向に同じように反射するマットな面(均等拡散面)である場合、照度は、その面の反射率と輝度から推定することができます。そのため測定された輝度画像があれば、検討したい面の反射率を入力することで、その面の照度を推定できます。
一方、照明シミュレーションをうまく利用すれば、全ての面の反射率は内部的に保持されているため、反射率を入力することなく、輝度分布図とあわせて照度分布図を生成することができます。
リアル・アピアランス画像(解説)
リアル・アピアランス画像とは、現実に私たちが体験する視環境を、見え方(アピアランス)をできるだけ保存した上でディスプレイに提示するための画像です。色を含めた光を測光色といい、私たちの視環境での体験は、全方位測光色分布で決まります。リアル・アピアランス画像は、測定やシミュレーションによって得られた測光色画像から変換されるもので、輝度比(測光色比)をほぼ完全に保存した上で、表示輝度を調整することにより、現実環境の見え方をできるだけ保存します。
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