No.001 京都国立博物館平成知新館「軒の影と椅子」
京都国立博物館平成知新館は、京都国立博物館の新たな平常展示館として2014年にオープンしました。設計は谷口吉生氏で、京の町家のコンセプトを取り入れています。簡易輝度画像からガラス張りの非常に明るい空間となっていることがわかりますが、人の座っているベンチ付近には軒の影が落ち周囲に比べてだいぶ暗いと思われます。しかしその程度の暗さであるかはよく分かりません。
明るさ検討画像を見ると、画面右側の壁は赤の9NBを超え、非常に明るいですが、これに対し人の座る部分は黄緑色の6.5から7.5NBくらいの明るくも暗くもない適度な明るさの領域となっており、適切な明るさに設計されていることが分かります。
明るさ画像や明るさ検討画像ではこのように簡易輝度画像からだけでは分からない情報も探ることが可能です。
No.002 国立新美術館「円錐を使った調光」
国立新美術館は国立美術館に所属している中で唯一コレクションを持たない美術館で、黒川紀章氏が設計しました。コンセプトは「森の中の美術館」です。大きなコンクリートの円錐があり、普通であればかなり圧迫感を受けるはずですが、そのような印象はあまりうけません。これはあぴ探を用いて画像変換することで明らかになります。
明るさ検討画像を見ると、まず円錐が逆さまになっていているために、床面に6.5NBから7.5NBの明るくも暗くもない適度な明るさの領域の空間が広がっています。
円錐の足元には、4NBから6NB程度の明るさ感を下げる木陰のような空間がうまれていることも確認できます。円錐が反射板の役目を果たすことで、来場者に6.5NBから9NB程度の快適な明るさ感を与えていると判断できます。明るさ画像や明るさ検討画像ではこのように簡易輝度画像からだけでは分からない情報も探ることが可能です。
No.003 静岡県富士山世界遺産センター「影がみえない理由」
簡易輝度画像からは全体的同じような輝度値であるように見えるため、非常に均一に太陽光で照らされて明るくなっているように感じます。明るさ画像からは本来ならば影が落ちるために暗くなるはずの水面近くが濃い赤色の非常明るい領域になっており、 明るさ検討画像をみると赤色の9NB以上の非常に明るい領域が大部分を占めることから、メッシュの奥から透過光が漏れてきているということが分かります。そのため全体としては非常に明るい印象になっていると考えられます。(by N.)
No.004 「暗い色」とは
「暗い色」には2つ意味があります。①色そのものの反射率が低く照明を当てても明るくならない部分。②光が当たらず陰になっている部分。この画像の「暗い色」について考察します。まず、①の例は、鴨居です。鴨居は黒っぽい板でできているために、照明を当ててもそれ以上明るくなりません。次に②の例は、応接セットの足元です。この部分は陰になっており、今の照明方法ではどんなに光を当ててもこれ以上明るくなりません。このように「暗い色」には2つの意味があります。(by N.)
No.005 京都・石塀小路「夜景の評価」
簡易輝度画像ではただ暗いことしか分かりませんが明るさ画像や明るさ検討画像ではその暗さの中で暗さの濃淡が確認できます。光源についても、写真からは非常に高輝度な印象を受けますが明るさ検討画像を見ると、黄緑の6.5~7.5NBで明るくも暗くもない領域あることから、やわらかい光で照明することでしっとりとした情緒を生み出していることがわかります。(by N.)